循環器内科 門前 幸志郎
皆様こんにちは。
新宿つるかめクリニック院長の門前幸志郎です。
前回に続いて、高血圧についてのお話です。
まず前回のケーススタディでの問題に対する解答です。
Aさんの診察室での血圧は156 / 98(健診の際は150 / 90)であり、表1左側の診察室血圧に照らし合わせるとI度高血圧に該当します。家庭血圧は130 / 80から142 / 88(平均138 / 85)とのことですから、表1右側の家庭血圧による分類でもI度高血圧に当たります。よってI度の高血圧(比較的軽症)と診断されます。
高血圧のガイドラインにおける診察室血圧に基づいたリスクの層別化(表2)を用います。Aさんは血圧の分類でI度の高血圧に当たります。リスク層については、背景や病歴が問題になりますが、Aさんは男性であり、高血圧のほかに脂質異常症(LDLコレステロール高値)を認めますから、リスク第二層の危険因子を2つ持っていることになります。高齢者ではなく、喫煙もしていません。また肥満はありますが他の疾患を合併していません。従ってリスク第三層(危険因子3つ以上など)には該当しません。よって、I度高血圧のリスク第二層に分類されますから、リスクの程度は中等度ということになります。
高血圧管理計画(表3)のチャート図に従うと、Aさんは高血圧の中等リスクに当たりますから、まずは生活習慣の修正を行って、1ヶ月後くらいを目安に血圧を再評価して、まだ高いということであれば生活習慣改善の強化に併せて薬物療法を開始する、というのが方針になります。
以上が解答例となります。方針については、もちろん患者さん個々の特徴や背景(ご本人の意欲や性格も含めて)があるわけですから、杓子定規ではなく総合的に判断する必要があります。
さて、ケーススタディの続きです。
Aさん「なるほど。よくわかりました。では具体的にご指導くださいますか?」
ドクターM「そうですね、まずは、食塩制限が重要です。」
(表4)
(高血圧治療ガイドライン2019に準拠:日本心臓財団のHPより転載)
(表5)
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