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運動療法①~自分が行う運動の強さと量を知ろう~

循環器内科 門前 幸志郎

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(サッカーに励む少年:筆者写す)

 

皆様こんにちは。

新宿つるかめクリニック院長の門前幸志郎と申します。


当クリニックブログの最初のテーマは「運動療法」についてです。

と言いますのは、私の専門は心臓病や高血圧などの心血管疾患を主に診療する循環器内科ですが、日本スポーツ協会のスポーツドクターでもありますので、心血管疾患の予防や治療にも重要な「運動」についてお話ししたいと考えた次第です。


さて、運動は心血管疾患だけでなく、他の様々な病気に対する予防や治療についても有効であるとの報告があります(表参照)。

 
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この表で示されるように、身体活動(=運動)は、冠動脈疾患や高血圧、脳卒中などの心血管疾患をはじめ、さまざまな種類の癌の罹患率、死亡率の減少に役立つだけでなく、全死亡(すべての原因による死亡)も有意に抑制するという多くの証拠が得られています。

そこで、疾病の予防や健康増進のために運動が推奨されるわけですが、運動の目安や目標になるものとして厚生労働省が「健康づくりのための身体活動基準」を定めており、以下がその概要になります。

 

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今回この指針の詳細なご説明は省きますが、おおまかな要点は、年齢や基礎疾患の有無によって、それぞれに応じたある程度の運動を行うことが推奨されている、ということにあります。


さて、上の図に「メッツ」という用語が出ていますが、これは何でしょう。初めて目にされる方も多いかと思います。例えば健康な1864歳の方の基準として、「3メッツ以上の強度の運動を毎週60分」などと書かれています。つまり、「メッツ」とは運動の強度を示す単位のようですね。


それでは、ここから運動の強さや量を表す単位としての「メッツ」や「エクササイズ」の説明をしたいと思います。

メッツ(METs)は運動強度の単位で、安静にして座っている状態(その状態でも呼吸をしたり、姿勢を維持したりと運動をしているのです)を1METとして、いろいろな運動がその何倍の強さであるかを表します。

そして、エクササイズ(Ex)は運動の量を表す単位で、1METの強度の運動を1時間行った場合の運動量を1Exと定義します。


 

例えば、6METsの強さの運動を30分行ったとすると、運動量は、

6METs × 0.5時間 = 3Ex

となります。

 

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これらの運動の指標の便利なところは、日ごろ行っている運動とご自身の体重から、およその運動による消費カロリー数が計算できるところです。

他の難しい定義や計算は省かせていただきますが、実は、

「1METの運動は1時間(=1Ex)で体重1㎏当たりおよそ1キロカロリー(kcal)を消費する」

ので、例えば、体重50㎏の人が4METsの運動を2時間行うと、およそ、

4METs × 2時間 × 50㎏ = 400kcal

のエネルギー消費を行ったことになります。


また、体重60㎏の人がいくつかの運動を合わせて1日に計15Exの量の運動を行うと、その日はおよそ、

15Ex × 60㎏ = 900kcal

を運動によって消費したことになるわけです。

あとはそれぞれ個々の運動がおよそ何METsの強さの運動に当たるかを知っていればよく、例えば、歩行はおよそ3、ゴルフは4、軽いジョギングは6、水泳は8METsに相当する運動です(図表参照)。

 

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すなわち、ご自身がよく行う運動が何METsの強度に相当するかを知っていれば、行った運動の時間と体重から、およその消費カロリー数が分かることになります。

例えば、体重75㎏の人がテニス(7METs)を2時間行った場合の消費カロリー数は、およそ、

7METs × 2時間 × 75㎏ = 1,050kcal

となります。運動量としては、たいしたものですね。これならテニスプレーヤーは食べ過ぎても太ることはなさそうです(?)。


さて、これだけ例を挙げさせていただきましたので、皆様もおおよそご理解いただけたかと思います。

ここで、おさらいとしまして1つ問題を出します。

「体重60㎏の人が、1週間に1時間のウォーキング(強さを3METsとします)を3回、40分のエアロビクス(6METs)を3回行い、さらには30分の水泳(8METs)を1回行いました。この人は週に何Exの運動をして、それによっておよそ何kcalを消費したでしょう? また、この人は厚生労働省が推奨する1864歳の人の運動(身体活動)量の目標を超えることができたでしょうか?」

答えは次回のブログでお示しします。


もっとも、最近はパソコンやスマホの運動関連のアプリなどを用いて、簡単に自分が行った運動の強度や量、相応する消費カロリー数を調べることができます。しかし上記のようなことを覚えておかれると頭の中で簡単に計算することができますから、それはそれで便利かと思います。

「今日は朝にテニスを2時間やったから1,050kcalくらい消費したな。だからお昼には大好きな○○のとんこつラーメンを食べても大丈夫だな。」

などといった感じで、いろんなことに前向きになれます(?)。


さて前向きになったところで今回はこれくらいにさせていただいて、次回の後半に続きたいと思います。

ご通読くださいまして、ありがとうございました。

 

3回「運動療法②~健康的に体重を減らすには~」に続く👉

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