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~新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と喫煙~

呼吸器内科 小川ゆかり

皆様こんにちは。
2021年明けて初回のブログを担当させて頂きます、呼吸器内科の小川ゆかりと申します。

新型コロナウイルスのパンデミックによって2020年に私たちの生活は一変しました。命や健康をいかにして守るか、これほど考えたことはなかったのではないでしょうか?現在の感染者数をみますと、2021年も同じような状況が続きそうです。
これまでの先生方もご自身の専門科と新型コロナに関することをブログで取り上げていらっしゃいましたが、呼吸器内科にも“喫煙”という大きなトピックスがあります。
2021年1月時点での新型コロナ感染症と喫煙についてお話ししていこうと思います。

喫煙者は新型コロナに感染しやすいか?

喫煙者における新型コロナ感染のリスクを評価した査読付きの研究は現在のところありません。逆に、新型コロナウイルス感染症患者の現在喫煙率が低いとする報告が多くなされています。例えば、Simonsらのメタアナリシスでは、中国における新型コロナ患者の喫煙率は数%であり、中国の成人喫煙率27.7%よりもずっと低率と報告されています。しかし、このメタアナリシスの対象論文の多くは喫煙率調査が不完全であると指摘されています。また、フランスにおける新型コロナ患者の喫煙率に関する論文でも、フランスの新型コロナ患者の「現在毎日喫煙率」は4.4%であり、フランスの平均毎日喫煙率25.4%よりもかなり低くなっています。しかし、この論文では毎日喫煙者、時々喫煙者、過去喫煙者、生涯非喫煙者が不自然な割合になっており、コロナを発病したため入院直前に禁煙した者を過去喫煙者としている可能性が指摘されています。新型コロナ感染に対する喫煙のリスクは今後の報告が待たれます。

 

※メタアナリシス:複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のこと。

喫煙は新型コロナウイルス感染症の重症化や死亡のリスクとなるか?

中国・武漢市の新型コロナウイルス感染症患者1,099名を分析したデータによれば、喫煙をしている人はしていない人と比較して1.66倍重症化しやすく、3倍死亡しやすいといわれています。また、喫煙によって慢性閉塞性肺疾患(COPD)が生じている人の場合には肺が大きく破壊されてしまうため、一般の人の4.38倍重症化しやすいというデータもあります。

この原因として、ACE2受容体の関連、喫煙により肺の繊毛の働きの低下や免疫力の低下、などが考えられますが、はっきりとしたことはまだわかっていません。

いずれにせよ、重症化を抑えることが重要であり、そのために禁煙が重要であるということは言えると思います。

今回のまとめ

・喫煙が新型コロナウイルス感染に関するリスク因子であるかははっきりしていない。

・喫煙は新型コロナウイルス感染の重症化や死亡のリスク因子である。

参考文献

  1. Smoking and COVID-19, World Health Organization, 30 June 2020

http://www.who.int/publications/i/item/smoking-and-covid-19

  1. Muhammad Shariq Usman, et al. Is there a smoker’s paradox in COVID-19? BMJ Evidence-Based Medicine. 2020, vol.0, no.0, p.1-6
  2. M. D. Shastri, et al. Smoking and COVID-19: What we know so far. Respiratory Medicine. 2021, vol.176, p1-7


  • 第13回「禁煙治療について」に続く👉

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