コロナ禍で飲酒について考える

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~コロナ禍で飲酒について考える~

川上明夫

 

お酒好きの患者さんに私がどんなに口を酸っぱくして節酒や禁酒を勧めてもこれまではほとんど効き目がありませんでした。今年のコロナ禍までは...

 

 

飲酒と生活習慣病

今夏はコロナ禍に加えて猛暑による運動不足で太ったり、糖尿病・高脂血症・高血圧症が悪化したりした方が沢山いました。一方でこういった生活習慣病が顕著に改善している患者さんも少なからず見受けられました。そういう方々に聞いてみると多くのケースで飲酒量が大幅に減っていました。肝機能が大幅に改善し正常化した人もいました。特に毎日のように日本酒換算で2合以上飲んでいた”多量飲酒“の方ほど”節酒の効果“が顕著でした。当たり前といえば当たり前の話ですが。でも私の勝手な印象ではこれは薬2種類分の効果に匹敵します。

 

飲酒量が減った理由としてコロナ禍で働き方が大きく変わって”仕事帰りに一杯“という習慣が一気に無くなったことが大きいと思われます。旅行・接待・出張がらみの飲酒が減ったこともあるでしょう。ステイホーム中に生活習慣の改善に取り組んで意識して飲酒を減らした方もいるかもしれません。いずれにしてもコロナのインパクトがどれほど大きかったかと言うことが改めて分かります。

 

 

飲酒の影響は多岐に渡る

こういったことを書くと皆さんは飲酒量が減ったことより外食のカロリー摂取が減ったことのほうが大きいのでは?と思うかもしれません。確かにその通りかもしれません、というか相乗効果でしょう(外食については次回で書きます)。でも飲酒量が減ったことの意義は生活習慣病にとどまりません。アルコールの健康に対する影響は生活習慣病に限らず癌・精神疾患・感染症・認知症など極めて多岐に渡ります。

 

 

少量飲酒でもリスク

また少量飲酒のリスクが近年明らかになってきました。一部の疾患(心血管疾患など)に注目して「お酒は少量であれば健康に良い」というのは過去の話になりつつあります。

 

少量飲酒でもリスクグラフ

グラフは2018年に海外で発表された論文から採ったものでお酒好きの方には衝撃的な報告でした。1ドリンク(アルコール換算で10g、ビールなら200ml)未満でも緩やかではあるもののアルコールによる死亡リスクは上昇し、それより多くなると明確に上昇傾向を示しています。6ドリンク(アルコール換算で60g、日本酒で約3合)で死亡リスクが1.5倍になる計算です。別の海外の論文では「死亡リスクを高めない飲酒量はアルコール換算で週100gが上限」という報告もあります。

 

これらはあくまで海外の研究ですが、これからは「お酒を飲むならごく少量、できれば一滴も飲まない方が健康に良い」というのが医学界の主流になるかもしれません。20年近く前に私がアメリカの公衆衛生大学院に留学していた頃は毎日30gまでは摂取してもいいのではというような議論をしていたのを考えると隔世の感があります。

 

飲酒が減って生活習慣病が良くなるのは分かりやすい効果ですがそれ以外の効果については実感しにくいかもしれません。でも日常的に飲酒をしている方にとってはお酒を減らすことが一番必要で、一番有効で、一番安全で、一番安上がりで、一番簡単な(最後は異論があるかもしれません^^;)健康対策でしょう。

 

 

最後に

コロナ禍にからめて飲酒の話をしましたが、今年ほど健康に対する意識が高まった年はないでしょう。健康に対する取り組みは人それぞれだと思いますが、飲酒量が減った方はコロナ禍が収束しても節酒を続けて頂きたいと思います。一方ステイホームで飲酒量が増えた方もいました。そういった方は早く元の生活リズムを取り戻して頂きたいと思います。

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