メディカルトピックス

どう防ぐウイルス性肝炎

肝臓は摂取した糖やたんぱく質、脂肪を身体で使える栄養素に変化させるほか、アルコールや老廃物など身体に有害な物質を分解して無毒化する重要な臓器です。その肝臓を蝕む疾患の代表的なものがウイルス性肝炎です。

ウイルス性肝炎の種類

ウイルス性肝炎はウイルスの種類によってA、B、C、D、E型の5種類に分類されます。発症するまでの潜伏期間が2週から6カ月と長いうえ、症状が出にくいため約3割の人が感染に気付かないと言われています。

A型とE型は衛生管理が不十分な水や食べ物を介してウイルスに感染する経口感染が主ですが、B、C、D型はウイルスキャリア(保持者)の血液や体液に接することで感染します。日本人ではB型とC型に感染するケースが多く、210万―280万人が感染していると推測されています。

B型、C型はともに注射器の使いまわし、入れ墨(タトゥー)やピアスの針の使いまわし、性交渉(C型はまれ)、カミソリや歯ブラシの共用などが主な感染経路とみられています。B型が急性肝炎、さらには劇症肝炎へと移行するケースが多いのに対し、C型は肝機能異常が6カ月以上続く慢性肝炎になりやすいという特徴があります。

急性肝炎には黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐、全身倦怠感、発熱などの症状があり、劇症肝炎は肝臓の細胞が急激・大量に壊死することで有害物質が分解されずに身体に蓄積して意識障害に陥る肝性脳症などを発症し、約70%が死に至ります。一方、慢性肝炎は自覚症状が出ないことも多く、罹患に気付かないうちに、肝硬変、肝がんになってしまう危険性が高い病気です。

ウイルス性肝炎の検査

ウイルス性肝炎はいずれも早期発見が大切で、定期的に血液検査を受けることで感染の有無を知ることができます。

厚生労働省では、健康診断の肝機能検査でGOT(近年はAST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼと呼称)、GTP(同、ALT=アラニン・アミノトランスフェラーゼ)の値が異常だった方や家庭内にB型、C型肝炎ウイルスに感染している人がいる方、タトゥーを入れた方、医療機関以外でピアスの穴をあけた方などに検査を勧めています。勤務先などの健康診断で血液検査をされていない方は、お住まいの自治体の保健所などに問い合わせてください。自己負担なしに無料で検査できます。

万一、検査で要治療となった際は、国や地方自治体が設けている肝炎治療への医療費助成の適用となる場合があります。詳細は下記URLをご参照いただき、厚生労働省や各自治体の窓口にお問い合わせください。

B型肝炎について

B型肝炎はかつて、出産の際に母から子へと感染する垂直感染が多かったのですが、1986年以降、B型肝炎の母親から生まれた新生児にワクチンを接種する取り組みがスタートして以来、激減しています。ただ、近年では若年層を中心に性交渉などが主な感染経路の欧米型ウイルス(ジェノタイプA)が流行しており、国内の患者数は110万―125万人と推定されています。

B型はワクチン接種による予防が可能で、医療従事者や救急隊員などウイルスに汚染された血液に触れる危険のある職種の場合は勤務先などで接種を受けています。それ以外の場合、世界保健機構(WHO)加盟194カ国のうち92%にあたる182カ国では定期接種が行われていますが、日本ではまだ実施されていません。任意で接種(計3回)を受けられますが、医療保険が適用されないため、大人で1回10000円前後、新生児で4000~6000円を自己負担する必要があります。

急性肝炎に移行した場合は、対症療法によって自然治癒を待つ方法が一般的です。さらに、劇症肝炎へ進行した場合には、ウイルスの遺伝子に働きかけて増殖を抑制する核酸アナログ製剤の投与や血漿交換、透析によって対処することもあります。

C型肝炎について

慢性肝炎に移行する割合が高いC型の患者数は、推計で100万―150万人です。以前はウイルスの増殖を抑制し細胞性免疫を活性化させるインターフェロン療法と核酸アナログ製剤など内服薬の投与が治療の主流でした。頭痛や食欲不振、吐き気、不眠・不安、倦怠感といった副作用が伴うもので、患者には辛いものでした。

しかし、最近、ウイルスの遺伝情報の複製を阻害するソホスブビル、リバビリン、ハーボニーといった新薬が登場したことで治療法が劇的に替わりつつあります。新薬による治癒率は95%以上です。1錠の薬価がソホスブビルで1万1799円、ハーボニーが8万171円と高額ですが、医療保険が適用されるほか、慢性肝炎、初期の肝硬変の場合は医療費助成の対象になっており、必要な手続きを行えば、月に1万―2万円の自己負担で済むようになりました(詳細は下記)。

早期発見・早期治療を

肝臓は「沈黙の臓器」という別名があるように、病に冒されても自覚症状の出にくい臓器です。しかし、その役割は重要です。摂取した栄養分の代謝や有害物質の無毒化など、私たちの生命維持に不可欠な機能を果たしています。

少しでも気になることがあれば、医療機関に相談しましょう。定期的に健康診断・人間ドックを受診することも重要です。肝機能検査の数値の異常など、肝臓が発するかすかな声にしっかりと耳を傾け、ウイルス性肝炎を含めた疾患の早期発見、早期治療を心がけることが大切です。

「新宿海上ビル診療所」は、健康診断、外来診療の両方の機能を持っています。
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